2009年4月26日日曜日

和紙千年②


おはようございます。昨日のNHK追跡!AtoZ では貧困ビジネスという群馬県の無届老人ホーム(火災)も実態は生活保護受給者を狙った事業で、福祉政策の貧困が原因で、貧困者を狙ったビジネスと国の施策の貧困と両方重なったものでした。今日は介護保険のレポートがあるとのこと、実態をよく捉えての頑張りには拍手を送りたいものです。議員さんは何をしていたのでしょうか。

昨日の続きです。金沢の古い小さな料亭で、おどろいたことがあるという。料理をいただいた部屋は落ち着いた、しっかりした造りだ。感心して尋ねてみると、その建物は明治時代に建てられものだが、どんな大雪のときにも屋根の雪下ろしがいらないという。重い雪を長い年月のあいだに、どれだけ載せてきたことだろう。だがどこにも狂いがきていない。朱塗りの壁も元のままで、ひび一本入っていない。ところが戦後に建てた新館のほうは,雪下ろしをしなければもたないそしてすでに何度も補修をしているという。旧館と新館の違いは、大工の腕の差もあろうが、何より、旧館のほうは地元の木を使っており、新館のほうは他の地の木を使っているという違いが大きい。材料の選択もまた棟梁の腕なのだが、地元の木は地元の雪で育っているから、雪の重みに強く、大雪でも、歪みが来ないのだ。漆の場合もそうだ。いまは中国産の漆が使われているが、それで仕上げたものは何年もしないでひびが入ることがある。日本の空気になじまないのだそうです。しかし見かけは国産漆を使ったものと見分けがつかないそうです。
  紙漉きの技術は、はじめから終わりまで、自然に寄り添っている技術である。それは自然を改造したり制圧したりする方向ではなく、つねに自然の恵みをより豊かに受けとるかたちで行われてきた技術改良であったそうで、これは平地の稲作文化でもなく、山の思想だ。山の民マタギや木地師の流れのようだ。たたら製鉄のような高度の技術もともと山の民のものだったそうです。

高田宏著:和紙千年より

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