2009年4月15日水曜日

ハワイの病院


おはようございます。海外旅行で経験はしたくないが、病院の明るさは常夏のハワイ故だからでしょうか。あるいはこの人は自分を心配症といっているが、楽天的なところも十分に持ち合わせているからでしょうか。
深き心の底より:小川洋子:海竜社

乗り物に弱いせいで旅行は苦手だった。新婚旅行はハワイであったが当初から断るわけいかなかった。
「先生がきてもお腹を押さえても、あなたは笑顔を見せていたでしょ?それならまだ手術しなくても大丈夫。本当に苦しい人は顔をゆがめてうめき声をだすものよ」
とさっさと出て行った。
私は決して,平気だから笑ったのではない。本当は痛くて痛くてさけびたいくらいなのだ。でもそれをけなげに我慢して、先生に愛想笑いをしただけだ。日本では、そういう我慢が美徳とされているのに。
今度はできるだけオーバーに顔中の筋肉をくねらせ、身体をよじりうめき声を出した。すると先生はあっさりと「OK」といい、そのまま盲腸をきるために手術室に連れて行った。
手術のあとはみるみる元気になった。メニューは自分で好きなものに丸をつけ、選べる仕組みで、ステーキやフライドチキンもあり盲腸が再発しそうなものもあった。夕食には必ずワインがついていた。主治医の先生ではなかったが、美男子の先生が病室の傍を通るときには、ウインクしながら私の足先をコチョコチョとくすぐった。小柄な私を子供と間違えているのかもしれなかった。
その後シンガポール、ヨーロッパ、に行ったが乏しい海外旅行経験から得た教訓は「あるものみな美しく、おこることみなよし」ということであろうかと。

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