2010年3月15日月曜日

大名の格付け


おはようございます。弓の会では4/1に観桜会をやろうということになったが、昨年はピッタリこの頃だった。我が家では当たり年なのでしょう椿が実ではないが、タワワに咲いている。
松浦静山・夜話物語り・童門冬二より
鼠小僧が松浦静山の下屋敷にとうとうやってきた。
「豪胆なやつだ、ついにわしの屋敷にやってきたのか」最後には笑いをふくんだ語調になった。それは浅草鳥越の上屋敷にはすでに侵入してきていたからである。
「おう、わが藩(佐賀の松浦藩)も鼠小僧に狙われるようになったか、格が上がったな」と笑ったものだ。そして「盗まれたものは」と聞くと、報告にきた武士は「それが何もございません」といった。ただ「奥女中の障子に、あちこち
穴が開いておりました」と告げた。静山は笑いだした。「ノゾキか」「そのようで」「女たちは気がつかなかったのか」「そのようで」報告の武士はそのように繰り返した。しかし笑いを口の中で噛み殺していた。しかしいま静山が口にした。
「格が上がったな」という言葉は真実だった。「鼠小僧に入られた」ということが逆に名誉だった。
「鼠小僧は見識が高く、チンケな大名は狙わない。大物ばかり狙う」という噂で江戸城内は持ち切りだった。
したがって変な風潮になっていて、鼠小僧に入られたことのない大名家は肩身が狭かったのである。太平な世の証だった。
ところが鼠小僧の話を聞くと、バクチのためのお金欲しさであり、盗ったお金を貧しい人に分け与えるという美談は勝手に巷で作られたものだった。

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