2009年12月16日水曜日
風は音楽の源
おはようございます。
冬の風が電線をならすモガリ笛もありますが、風雲というような言葉が浮かんできます。奄美の方や古代ギリシャ人は風に負けず、楽しんでいた「シタタカサ」を持っていたようです。
岩波の「図書」今福龍太※著
カルマンの渦列、アイオロスの風袋
カルマン渦http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%9E%E3%83%B3%E6%B8%A6
奄美という汀に深いヒダを抱えた大きな島だ。南東部分を太平洋に、北西部分を東シナ海にむけて紺碧の絶海にしずかに横たわっている。秋になれば東シナ海から強いミーニン(新北風)がだんだん冬景色白波を白波で彩るニシ(北風)が終わると、湿ったハイ(南風)の空気が背後から山から寄せてくる。
私の泊まる民家の板壁は薄く、風の拳は容赦ない。夏の台風が島を直撃するときの裏山は突風に煽られながら低い姿勢でふらふらしながら進み、耳はつんざく轟音、鼓動が高まる。危険を感じながらもなす術もない。この狂暴もてあそばれながらも身体は思わず歓喜の声をあげれている。裏山の頂にあがれば東シナ海のほうに森が開ける。そこに1本の樹齢数百年のガジュマルが屹立しているのだ。暴力的な台風もピタリとやむ。森を巡る風の咆哮の声が遠く小さくなり巨大樹の陰に気流のエアポケットが出現。無数の太い枝が大風を分散させ、その波動をお互いに打ち消している。
風が山肌を叩きつけるように吹く代わりに、巫女の霊力を我ものとしたごとく、低いトーンの唸り声をあげている神秘的な生態楽器のドローンの音色に時間を忘れて引き込まれてゆく。 唸りを伴う民族楽器は強風のカルマン渦による波動。台風の通り道の島に住む人々は身体に内化していた。奄美大島に歌い継がれてきたシマ唄は低くしわがれた唸り声このようなドローンの響き。むらむらの連絡にもホラガイが広く使われた。
どうように古代ギリシャではエオルス音があった。空洞をもつ箱に張った弦を風によって鳴らすのもカルマン渦のなせる技。これにはホメロスの物語でオデユッセウスの部下が風袋を宝物であると邪推してひらいたために、大嵐になったという。
※http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8A%E7%A6%8F%E9%BE%8D%E5%A4%AA
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