2009年12月3日木曜日
タネは旅して②
おはようございます。又東京に戻ったら、前の富士街道や武蔵関公園の公孫樹並木や楓が一層鮮やかな紅葉色になっていました。
自分で種採りしてみるとよくわかりますが、植物が異なった環境に適応し、生育して、土地に合った子孫を残そうとする力は、真に偉大としか言い様がありません。よくできた野菜を選抜し、種採りを続ければ、普通三年も経てばその地やその人の栽培方法に合った野菜に変化していきます。もし土地に以前からあった野菜と交雑したりしてもそれはそれで、八年も選抜していると、雑種形質が固定して、その土地に新しい地方野菜が誕生したりします。これこそ人間が移動手段を提供したために、旅をしながら遺伝子を変化させ続けて来た、野菜本来の生命力の発露なのだそうです。
今食べている野菜の種はF1種といわれ、大きさが均一で収穫量が多く、大量生産に向いた効率的な野菜です。運びやすいため、流通業界でも喜ばれいつのまにかF1種しか取り扱わないようにもなった。農家も種屋さんもF1種になり、地域で育てられた野菜は幻の野菜になってしまった。直売所などで地域特有の野菜、固定種を扱っているケースがあるそうです。
埼玉県の飯能市に「固定種」を専門に扱っているタネ屋さんがあります。スギやヒノキに囲まれた山の中のタネ屋さんです。大規模市場で無理でも、パソコンによるネット販売で全国販売している。需要者は専業農家ではなく、自分で家庭農園を楽しんでいる方々だそうです。おもしろいのは昔の味を求める60歳以上、健康野菜を子供に食べさせたい30歳代と2分されている。この商売に特化したのは昭和49年、小売業の大型化が始まろうとしていた時期、ホームセンターの影響で自分の店への来店が減った打開策で考えたそうです。固定種は他の畑から花粉を運ぶ昆虫からの影響を防ぐ意味で2km離れている山林に囲まれた畑での栽培が必要。しかし木材の自由化で、山に残ったのは高齢者だけになり固定種の栽培の担い手がいなくなり、野口種苗も一時ピンチにもなったが、若いボランチアの採種が手伝ってくれ継続されているだそうです。
この固定種の一例で「みやま小かぶ」は肥料を一切やらずでも元気にそだつ。「肥料を使わないと虫もやってこないので農薬もいらない」のだそうです。しかもこの年は雨が多く、どこの畑のナスもあまり実をつけませんでした。ところが無肥料の畑のナスはたくさん実をつけていたそうです。
野口種苗研究所:http://noguchiseed.com/
042-972-2478
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