2009年9月22日火曜日

仏像にも塞翁が馬


田圃の彩の 彼岸花でも白と赤はしっていましたが、黄色もあるのですね。

仏像は語る:西村公朝(仏像修復、):新潮社より

仏像はお堂の雨漏りから厨子の屋根から仏像に伝わって、仏像の中まで湿気が及ぶとか、
虫食い、長年の線香の香の煙、仏像の頭部の螺髪(渦巻き状)の谷間や台座の蓮弁や襟元
に信者が撒いた米に鼠がきて、仏像までかじってしまう。あるいは仏像の作りで多い寄せ
木つくり」の継ぎ目の剥離部分の修理がある。
お金もちの信者の多い寺は、くすんだ金箔やいぶされた彩色を直す意味で、カセイソーダ
や石鹸で洗い落してしまう。それがせっかくの修復が、文化財の対象にならなくナなるケースもあれば、田舎の貧乏寺で結局なにもできなくて放置されていることがある。一見仏像にとって不幸なようにみえることもあるが、傷んではいても、彩色がわずかに残っているとか、古い釘がそのままなのが貴重ということで重要文化財に指定されることもあるし、指定されたことによって参拝の方が訪れるようになることもある。いったいどちらの仏像が幸せだったのかと考えさせられる。
虫食いの修理には、今はまず殺虫して、穴の中のカスを出してそこに樹脂とか漆を注入します。

江戸時代などには、“渡り仏師”とでもいうような、旅から旅へと仏像を修理して歩く仏師がいたようです。修理してそのお寺で食わせてもらうことが出来る。

虫食いの穴を隠すために、手抜きで、紙を貼ったり、土を詰めただけ、補修する材木にしても持ち合わせがないので、お堂にあった古材や廃材を適当に使ったりしている。
このように修理はいい加減なのですが、修理記録だけは残されていてこれは貴重ですし、虫食いの穴ふさぎに土を詰めるのも、糊で紙貼りするよりも虫食いの被害が少ない場合もあって、文化財保護の観点からいうと役にたっているというおかしなケースもあるそうです。このように修理の幸・不幸があってなかなか難しいそうです。

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