2009年6月6日土曜日
夜と霧③
おはようございます。1年間だけであるが、助成を受けてカラーの本印刷になった「きらっとかわら版」6号を接骨院などにもお願いして、待合室にもおいてもらうようしました。
無料ですから購読者ではなく、読者ですが、これの数をどう増やしていくかが課題です。継続が一番のようで、中身もいいわよなどの意見も頂戴するようになってきました。
夜と霧;新版;池田香代子訳:みすず書房より
とうてい信じられない光景だろうが、わたしたちは、アウシュヴィッツからバイエルン地方にある収容所に向かう護送列車の鉄格子の隙間から,頂きが今まさに夕焼けの茜色に照り映えているザルツブルグの山並を見上げて、顔を輝かせ、うっとりとしていた。わたしたちは、現実には生に終止符を打たれた人間だったのにーーあるいはだからこそ--何年もの間目にできなかった美しい自然に魅了されたのだ。
あるとき、労働で死ぬほど疲れて、スープの椀を手に土の床にへたえりこんでいたとき、突然仲間がとびこんできて、太陽が沈んでいくさまを見逃させまいという、ただしそれだけのために。
収容所の殺伐とした灰色の棟の群れとぬかるんだ点呼場がひろがり、水たまりは燃えるような天空を映していた。わたしたちは数分間、言葉もなく心奪われていたが、だれかが言った。
「世界はどうしてこんなに美しいんだ!」
きらっとかわら版第6号
http://kirattokawaraban.up.seesaa.net/image/C7DBC9DBCDD1A1A1C2E86B9E620.pdf
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