2010年6月14日月曜日

記憶には忘れ薬が入っている。


おはようございます。サッカーの応援も疲れます。それにしてもよく点を入れてくれました。こういうのは忘れません。ドーハの時も同様です。
 ところが昨晩のご飯のおかずは何だったかとか、買うべき品物のメモも持たずにスーパーにいって5点の内、必要に思った時のそれを忘れていて2点は思い出せなかったりと自分の記憶にはもうとっくに安心感を抱いていません。それが裁判の場合の証言は目的意識がなく、なんとなくの記憶がどんなにいい加減なものか「爆笑問題」の番組を見て思ったのでおさらいしてみました。

証言の心理学・記憶を信じる、記憶を疑う:高木光太郎著;中公新書
証言の心理学は証言にかかわる心理現象のどのような側面に振り向けようとしたのだろうか。
アメリカの心理学会の会長も務めた「応用心理学の父」ヒューゴ・ミュンスターベルグは1908年に出版された『証言台で』という著書である人騒がせな実験を紹介している。有名な犯罪学者リスト教授の講義。突然一人の学生が叫ぶ。「キリスト教徒としての道徳という観点から、そのことを解明したい」すかさず、もう一人の学生が口を挟む。「とんでもない、馬鹿なことをいうな」。それに激高した最初の学生はあろうことか拳銃を取り出した。反論した学生はそれを見て、怒り狂ったのか猛然と飛び掛かって行く。すんでの所で教授が二人の間に割ってはいり、拳銃をもった学生の腕をつかむ。銃声。騒然となる教室。だが教授は奇妙なほど落ち着いている。実はこの騒動は目撃証言の研究のために仕組まれた
芝居だったのだ。教授は受講者達に事情を説明したのち、いま目の前で起きた「事件」をできるだけ正確にレポートに書くように指示した。こうして集められた受講者たちの「目撃証言」を発砲事件の台本に対応させてチェックしてみると、非常に多くの誤りがあることがわかった。起こっていない出来事が付け加えられている。出来事の細部が実際とは食い違っている。といったエラーが多くみられたのである。目撃者の80%が同じような間違いをしているケースもあった。「事件」の後半は感情的にインパクトが強かったためか、前半部分の報告に比べて、15%も誤りも多くなっていた。この古典的実験は、人間の記憶の「脆さ」を見事に浮き彫りしている。教室にいた受講生はみな、この出来事に注意を奪われていたはずである。だが直後に報告された目撃証言であっても、そこには多くの誤りがまぎれ込んでいた。目撃証言はこれほどまでに間違いやすいのである。人間の記憶は脆く、間違いやすい。「記憶を語る」ことをとおして過去の「事実」に迫ろうとする証言という作業は、それが始まる場所であるいはそれが始まる前あら既に不安定に揺らいでいる。「記憶脆さ」を徹底的に理解すること、証言の心理学はここから出発しなければならない。
衝突実験の結果:http://d-code.org/blog/archives/2006/09/post_174.html

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