2008年12月20日土曜日

売れない絵=売りたくない絵


やっと1冊だけカレンダーを頂いた。昨年同様のエレベーター会社のもので日本の自然の写真シリーズでした。

この絵の前に立つと、たいていの人が「ふうん」とうなる。

小生も間違いなくそうする一人です。タタミ一枚位の大きさの画面が全面そっくりアスファルトの地面である。

次いで、人は「こういう絵を買う人があるんですか」「ないでしょうね」と画商は答える。事実ときどきこの絵を画廊にもっていって掛けておくのだ。値段を聞かれたことは一度もない。それでも敢て売れもしない大きな絵で貴重な壁面をふさいでおくのは、絵の値段の上がり下がりばかり気にして、先物買いに目の色を変えているような当節のお客に対する意思表示なのであると。傑作だの、名作だのと騒いでいるような今日の大方の風潮に対する無言の抗議だそうです。あの当時の韓国の大統領・李承晩の警察からの追及から逃れてきた韓国生まれの画家曹良奎(ジョヤンギュ)氏は、これを紹介している洲之内徹画商と懇意だった。彼が住んでいた深川枝川町の朝鮮人部落で1950年代のはじめ、共産党が極左冒険主義をとり、火炎瓶闘争を指令したとき、その熱っぽい政治闘争にまきこまれずにいるtめには勇気が必要だったろう。しかしそれを拒み通した。もし彼が安直な政治闘争の中に逃げ込んでいたら「マンホールB」のような絵は生まれなかった筈。彼が生身でじかに感じた戦後状況のイメージを凝縮した芸術作品の記録とはなった。戦後日本の絵画史に見落とすことのできない作品を一点でもとどめておきたかったからと結んでいる。

http://www.areum.org/home/lecture/haryu_kouen/index.html

おいてけぼり:洲之内徹:世界文化社

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