2007年9月25日火曜日

心の健康法
















幼年期における愛情の不足は成長してからのみならず、子供時代にも著しい生理的影響を及ぼす。ある会議でアシュリー・モンタギュー博士が立上がり、誰にも答え得られない質問をした。愛情の不足はどのようにレントゲン写真に表れるか、というものだった。モンタギューがいう答えは愛されない子供は成長しない、と説明した。そうした子供の骨をレントゲンにとってみると、濃い線が見え、愛情不足のために成長が停止していた時期が分かるという。こういう場合の赤んぼうの特徴は身体体重ともに、著しく少なく、慢性的抑うつ症に見られるような引きこもりを示す。









その逆の場合は健康に有益であることも分かっている。母親の母乳の有効性は、母乳の成分を調べようとやっきになるが、大事なのは授乳の仕方なのだ。自然に及ぶ接触――それらは人間の体内環境を変える力を持つ。



 がんに患者に見られる特徴は、自分の気分に関係なく、つねに「元気です」と挨拶するような人達だ。彼らは「どうかしましたか?」と訊かれると、「なんでもありません」と答える。自分の欲求を否定し、何の問題もないからと助けを拒否すると、自分の体に「死にたい」というメッセージを送ることになる。その結果、体はその人が本心からそう思っているものと考え、病状を悪化させて死を早める手伝いをすることになる。自分の感情を率直に表現できない人のために、ABCで気分を評価するシステムを作るといいかもしれない。だれかに「ご機嫌いかがですか?」と訊かれたら[Cマナイナスの気分です]などと答えればよい。ある女性はがんには、秘密主義をとるのが自分のやりかただという。手術を受けることはほんの数人の身内しか知らせず、友人とあってもどこも具合が悪くないようなふりをしたという。しかし私にいわせればエネルギーの浪費だ。このエネルギーを病気だけでなく、彼女の人生をも癒すためにした方が有益だったろう。秘密を守るためにエネルギーを注がなくてはいけない。友人や家族に助けを求めることも、助けを受けることも出来ない。うそを真実のこととしてまわりに認めさせ、それを守り抜くことは美しい行為にみえるかもしれないが。しかし自分にとってこんな過酷な罰はない。







この博士のいいたいことはすべての人間に潜在的自然治癒力をもつことを自覚させたいことだといいます。



シーゲル博士の心の健康法より、5章、自分の中の子供を癒す:新潮文庫

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