2007年9月21日金曜日

能についての質問






能には橋掛かりといって渡り廊下があるがその一番左奥に揚幕がある。この幕の色に意味があるのですか→いろんな説があるのですが、その一つに中国古代の五行説があります。五行説は木火土金水を万物組成の五元素とし、それを色にすると、青(緑)から始まり(仏教では物質を構成する5つの要素を地、水、火、風、空とよびこれを色にあてはめて5大色としていて)、黄、赤、白、黒(紫)と観客席からみて右端が青(緑)です。この青が木です。この並べ方が一般的に正しい。


ところが他の舞台では右の方から黒(紫)になったりして裏表が逆になっている。やっぱり日本人も中国人も右から順番にはじまるから、一番奥が青でなければいけない筈です。


鏡の間という能の楽屋にあたるところですが、そこから演じる側からしたら右側が緑になる。能の最初の当時は演じる人が主だったのですからそうなっていたのです。能の歴史がそれを象徴していたことになります。切り戸口という出入り口がありますが、その他にもう一つ扉があります。地謡座の後ろに貴人口があります。そこは開閉しないで、出入りしてはいけないが、しかしながら開くようになっている。つまり身分の低い者の出入り口を貴人が出入りできないので特別ので入口なのです。しかし先ほどの説明のように演者のための出入り口ではないのです。つまり演者がもしあそこを使おうとすれば、普通の時ではなく、というのは死んだ時に、仏様とか、だから舞台で死んだ時は揚幕(演技のために出入りするところ)」は使えない。あの貴人が入るのだから別に「死人口」ともいう。しかし貴人が出入りしたことはないし、歴史にも残っていない。


能の舞台下には基本的に13個の甕が埋められている。足拍子を踏むところに置いてあります。踏んだ場合舞台は四角なので、響きがおこるので、甕をおくことによって音がここで吸収されてまた戻ってくる、そのために音がよくなる。能の型はどこを踏むかは大体場所が決まっているのでそこに置いてあるという訳である。



能・狂言なんでも質問箱:山崎有一郎・葛西聖司:檜書店より


<五行説 資    料>

木(木行)
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。

火(火行)
光り煇く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏」の象徴。炎の神
土(土行)
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。
金(金行)
土中に光り煇く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収獲の季節「秋」の象徴。
水(水行)
泉から涌き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。
四季の変化は五行の推移によって起こると考えられた。また、方角・色など、あらゆる物に五行が配当されている。

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