2007年9月10日月曜日

神話が私たちに語ること



人間は常に神話を生みだしてきた。ネアンデルタール人の墓を発掘すると、武器や道具、いけにえにした動物の骨が出土する。おそらくこの世に似た死後の世界の存在を信じていたのだろう。
ネアンデルタール人が死に対して他の動物と違った見方をしていたことは間違いない。動物は死んでく仲間を見守りはするが、我々の知るかぎりそれだけで死について思いめぐらすことまではしない。死が避けられないものであることを意識するようになってからは死をうけいれるための物語を生みだした。


人のこころに備わっている特徴がある、合理的な説明のつかない事柄でも考えたり、経験したりできる能力である。つまり人間には想像力があるのだ、実体のないもの、思いついたときには客観的な存在を持たないものについて考えることのできる能力が宗教と神話を生み出す能力でもる。神話的なものの見方は、今日評判はよくない、不合理で身勝手な見方にすぎないと片づけられてしまうことが多い。この想像力というものがあるからこそ、科学者は新事実を解明し人類の進歩に計り知れない貢献をする新技術を発明し続けてきた。人間が大気圏外へ出て月面を歩くことができたのも、科学者の想像のおかげなのだ。



神話がほぼ例外なく死にまつわる経験と消滅の恐怖から生まれている。
神話が筋の面白いストーリーとして語られるのではなく、われわれ人間がどうふるまうべきかを示すために、語られる点にあるそうです


マイミィクのaostaさんが推薦していた

カレンアームストロングの著書「神話が私たちに語ること」、 武舎るみ訳角川書店より

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