2007年9月20日木曜日

日本はなぜ国際情報力が弱いか?


おはようございます。又長くなってしまいました。結構鋭い指摘です。
  第一に、日本人は「情報」の意味をわざと曖昧にしているのではないか。いうまでもなく、インテリジェンスは日本語の「知性」でもなければ「諜報」でもない。インフォメーションを収集して細かく分析し、評価のフルイにかけて洞察し、天秤にかけて信頼性ありと判断されたものこそ、はじめてインテリジェンスなのだ。

これは日本語の面白さでもあるが、カタカナになった外来語は、たいてい日本化している。本来の意味内容と違ってくるのだ。ある言葉を日本流に使うと、意味もニュアンスも全く違ってきて、大きな誤解を招くことになる。「スマート」はもともと「賢い」という意味だし、「モーテル」は家族が気軽に泊るホテルのことなのだ。日本人はガイジンを識別するわりには、意味のとり違いには無頓着である。

 第二に、「この情報は、いつ、どこまで公開するか」という基準が日本ではまだ十分確立していないようだ。だから情報がすべて秘密にされる可能性もあれば、大事な情報が簡単に流出してしまう可能性もある。これでは、他国との微妙で重要な情報交換は難しい。

 第三に、日本にはアメリカやイギリスばかりか、ヨーロッパやアジアの小国でも見られる国家レベルの情報収集・処理・分析をするための機関がない。熟練した多くの人材が必要である。自前の情報収集ネットワークの構築には、時間と投資が必要なのだ。これをどこかの国に依存していては、ヒトが目、口、鼻、耳を持たないのと同じではないか。 

第四に、日本の皆さんに伺いたい、「戦争になったら、あなたは何を一番に守りますか」と。“国”と答えるかもしれない。「では国とは何ですか」と問い返すと、はっきりした答えは殆ど返って来ないだろう。言っていること、考えることが抽象的過ぎるのだ。 発展途上国で、私の母国では、どう答えるか。百人のうち九十九人はこう答える、「第一に土地を守る。自分が生まれた場所であり、住む家と作物を産むからだ。第二に女を守る。子供を絶やさないためだ。第三に財産を守る。武器を買うためだ」と。もっと尊いのは祖国の土地であり、愛する国の女性と子供である。そのために命をかけて戦うのだ。

 「北朝鮮は何を考えているか、何をするか、わからない。だから一応それなりに準備をしておく必要がある」とマスコミ関係者は言うが、なんとも抽象的な話ではないか。何をどんな風に準備するのか」、不思議でならない。準備・対策の前段階として、信頼できる情報の収集としっかりした分析とが必要だ。そうしてはじめて戦略も戦術もたてられるし、国民への説明もできるのではないだろうか。 

第五に、古い話だが、日本の新聞には「有楽町発の外電」という言葉があったそうだ。特派員や海外の通信社から続々ニュースが入ってくるが、編集者は「読者が好み、理解できる」ものだけを掲載するという意味なのだそうだ。正直、今もそんなに変わっていないフシがある。読者・視聴者が喜びそうなニュースでないと、日本のマスコミはおしなべて冷淡だ味噌汁とご飯に合うものだけを選んでいる。だから理解しようという姿勢が育ちにくい、と言えば言いすぎだろうか。 事のついでに言わせて頂くと、日本のマスコミには欧米の報道を鵜呑みにするクセがあり、ニュースの背景にある意図や真実性を無視して掲載するケースが多々ある。 マスコミは歴史の証人であり、忠実に世の中に真実を知らせる義務がある。そのため、マスコミは意図的に真実を曲げたり、隠したり、挑発的に世論を操縦するようなことをしては絶対いけない。問題に応じて、権力に迎合することなく異なった意見や情報も掲載・放映することが、マスコミの義務であるはずだ。また、米英はフセイン政権打倒という目標を先に決めてそれを正当化するための手段として情報を捏造し、利用したのではないかと言われている。誤った情報や方向づけに対してブレーキの役目を果たさなければならない。

米英のマスコミはそうしなかった。もし日本のマスコミがそれをそのまま鵜呑みにして流すなら、外国の道具になるというだけでなく、社会に大きな被害を及ぼしているのである。 ここで付け加えたいのは、日本のマスコミが発展途上国やイスラーム諸国については勉強が不足しているように見受けられることだ。だから安直に欧米諸国のメガネを借りて見たら、一層本当のことはわからなくなる。たとえば、昨年デンマークの新聞が掲載したイスラームの預言者ムハンマドを風刺する冒涜的な漫画は、いくら言論の自由を振りかざしても、世論の挑発を目的とするものだったのは明らかだ。

もし日本のマスコミがイスラームという宗教についてもう少し勉強していれば、掲載の狙いはすぐ見抜けて正確な報道をしたであろう。全体の状況は、日本のマスコミが国際情報収集・分析に弱いとの印象を深めさせた。マスコミの正常な機能によって、日本の国民が国内・外の現実の姿を知り、政府がそれを外交政策に反映させるならば、それは世界各国で起きている困難な事態や悲惨な状況を解決することに、おおいに寄与するだろう。

モハメッド・ライースという人の意見です。

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