2009年11月18日水曜日

富士山麓の生活


おはようございます。

また一段と冬に近づき、ドウダンの葉も真っ赤に染まっています。
温度の上下が激しく、電車内の服装も女性はさすがに冬モードになっていますが、男性の場合は厚着・薄着とばらばらでです。
お茶も熱めにして身体をあたためるようにしています。

日日雑記:武田百合子※(武田泰淳氏の奥さん)全作品の7から:※http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E7%94%B0%E7%99%BE%E5%90%88%E5%AD%90

富士の北麓に山小屋に住んでいる。
草刈りのあと焚火をしていると、トガワさんくる。松の間から煙が見えたのできてみたという。この山小屋を作ったときの石工事をしてくれた石屋の社長さんである。胸に上等な金のボールペンを2本さしている。景気はどうかと、訊ねると、あんまりよくねえと言った。高血圧の薬を毎日のんでいるのだそうだ。これから山の工事場を3か所まわらなくてはならないと言いながら、お茶を3杯飲む。
商売は如何ですかと聞くと答えてくれました。荒収入から、人件費30%、機械などの設備投資50%、引いた残り20%が純利益。そのうちから交際費を引いたのがおらの収入。いっこうに貯まらないから、髭の濃い顔をこすって笑う。
今日は西の空をみて昼過ぎ2時頃から、雨が降るでしょう。トガワさんは立ち上がり、ズボンのバンドを締め直し、「東京の生活は賑やかだに。一人じゃ怖いことないかね。田舎のものでも、山は一人じゃ嫌がるに。夜はテレビでも見てるのですか」と、西の空を見い見い、言う。二階のこうもりと階下の部屋にくるむささびの話をすると、トガワさんはじっときいていてから、「いかなる動物も怖いということはねえです。いかなる動物よりも人間の方が怖いです」とおもむろに哲学者のように言った。雨はこず、そのまま夜になった。

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