2009年2月16日月曜日
戦争広告代理店③
おはようございます。いろいろな記事は事実を書いていることも確かですが、その中には幾分か報道機関がそのように書きたいという意向を言うか、読んでもらいたいがために、仮説のような意図に基づいて書くようにも感じられる。また偶然の連鎖も重なっているようです。
あの湾岸戦争でクエートがイラクに侵攻されたときに、大手PR会社ヒル&ノートン社は在米のクエート大使館員の15歳の少女を使ってその目でみたというイラクの残虐ぶりはデッチアゲというPRがなされ、PR業界そのものイメージが損なわれたので倫理問題には敏感だった。
外相は活動家に相談し、PR戦略の専門家のジム・ハーフを紹介された。
ジム・ハーフは大手PR企業ルーダー・フィン社の幹部社員だった。米国の広告代理店は政治的に影響力のある圧力団体をも動かす。ハーフが得意としていたのは外国の国家をクライアントにすることだった。太字部分追加
しかし紛争当事者の片方と契約し、顧客の敵セルビア人は極悪非道の血も涙もない連中で、モスレム人は虐げられた善意の市民たちというイメージを世界に流布することに成功する。
しかしながらそう簡単にはいかなかった。
●この紛争の経緯について外相は詳しく話したがったが、これは最もしてはいけないことだった。これまでのどういういきさつがあったか、そんな話は誰も耳を貸しません。とくにアメリカのメディアの視聴者が退屈してしまうのです。
●外相は大学で詩的表現をつかっていたが、米国では陳腐に聴こえる。
●時には沈黙し、声の調子を上げ、話すスピードを速くすることもあれば遅くスルテクニックの教授がった。かなり長い間沈黙してから話し出すことが多いのは計算ずくにした。
●サラエボを離れてから外相は一度も国に戻っていなかったが、サラエボの悲劇を人間の普通の感情として恐怖さめやらぬ状態であるはずなのに、キャスターの質問に滔々と答えてはリアリティを欠いてしまう。のであたかも見たかのように演出した。
●およそ一時間の番組に招かれた外相は、プライドがたかく他のゲストが何人かいて、彼の出番は最後の方だったが、誇りを傷つけられたと誤解して、信じられないが突然スタジオからスタスタ出て行ってしまったので、やっとのことで連れ戻した。外相の顔は爆発しそうな顔であったが、その顔がサラエボの事態が深刻なのだという印象を与えた。
●外相は女性によくもてた。PRマンのハーフの女性や有力メディアの女性記者の身体に
触ったこともあった。それは何よりも母国で市民が血を流しているのに、悲劇の目撃者のイメージを覆してしまう。
このようなつい本性を画面でみせてしまうことが多い。その差は訓練次第である。
国際情勢は激しく動き、サラエボはこの世の地獄とかしていた。ガリ事務総長はボスニア紛争に関する報告書では「セルビア人だけが悪いわけではない。又セルビア共和国の政権の指示もうけていない。「セルビア人がすべての悪の根源である」というメッセージを発しているので許しがたい報告だった。
一週間後に「ナイトライン」という数ある中の報道番組の中でもハーフが一番重視した番組にでられることになった。
シライジッチの顔が画面に映った瞬間、番組は彼のものとなった。たった今、流血のボスニア・ヘツツゴビナからやってきた人間の悲しみと怒りが現れていた。司会者のコペルも圧倒され、「アメリカが何故かかわらなければならないか。又米国のメリットは?」と聞いたが、「これは馬鹿げた質問になりますが」という必要のないことを付け加えてしった。
外相は「サラエボでは毎日無実の市民が殺され、血を流しているからです。怪物のような」連中がはびこっているのです。こういう人道に背く行為を、決して傍観して見過ごしたりはじないのが、アメリカの責任と誇りだからです」そして「Enough is enough that’swhy(もうたくさん)それが理由だ」と続けた。これも計算されたテクニックだった。
「戦争広告代理店」というNHKの高木徹さんという書いた本より
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