2010年1月30日土曜日

招き猫


おはようございます。メル友かの春の訪れの便りです。

青空に
  枝交叉して
      梅開く

獄中記:佐藤優:岩波書店より

訪露の時にブリーフィングの要求があって伺った。小渕外務大臣が質問したのは、「ネムツオフ※露第一副首相が前回訪日したときにロシア大使館のレセプションで会ったが、あいつは自分からきちんとした
挨拶もしない。わざだと思うか」
※当時39歳で最若手でエリツインも可愛がっていた。また鼻っ柱が強かった。
露担当の佐藤優氏「わざとでしょう。一種のハッタリで、相手にあいさつをさせて優位性を保とうとしているのです。ロシアの若手政治家にはこういうパフォーマンスをする輩がときどきいます」
「そこでだ、ネムツオフを『アツ!』と驚かせるような土産をもっていきたい。何がいいと思うか。起き上がりこぼしダルマはどうだ。政治家は何回転んでも立ち上がるというメッセージになる。」
「それはむしろエリツイン大統領に贈った方がいいでしょう」
「“招き猫”がいいでしょう」
「どうしてだ」
「インタビューでも『なによりも猫が好きだ』と答えています。「あなたが猫好きなので、私の故郷の特産品の“招き猫”をもってきた」といえば彼に《日本側はあなたについて徹底的に調べているだから猫
好きという趣味まで知っている》というシグナルをさりげなく送ることになります。こうすれば彼は今後少しは礼儀正しくなると思います」
小渕氏はニタッと笑って「そうだな。どういう“招き猫”がいいか」
「彼はわびさびが分かる人間ではないので、金箔のピカピカの猫がいいと思います。」
1998年2月21日にモスクワ日本大使館で夕食会が行われた。
「ネムツオフさん。あなたにプレゼントがある」といって大きな招き猫を渡した。彼は驚いて絶句した後、「どうして僕が猫好きだと知っているのか」と尋ねてので、小渕氏は「われわれの専門家がきちんと
調査している」と答えた。ネムツオフは実は猫が好きなんだ」といって、その後かつてのような尊大な態度はとらなくなった。

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