2008年9月8日月曜日

草原の羊


モンゴルでは相撲の人気が高く、視聴率も80%位あるというくらい信じられないくらいの人気です。

モンゴルの首都はウランバートル、そこからちょっと出ると、もう一面草原です。そこで車で走りながら、ふと気づいたんですけど、大体ヤギがいるんですね。羊の群れになっているところに。割合でいったら羊百匹にヤギが一匹くらい。絶対います。どこの群れでも。  

通訳を通して、遊牧民に聞いてみると「羊はバカだから家族が困る。ヤギはずるい。だから家族助かる」―これではさっぱり分からなかった。もう一度訊くと、遊牧民は馬乳酒飲んで酔っ払っていたんです。

要するに、羊って足元の草を食べてしまうと、そこから動かなくなる。あまり自分から動く動物じゃないんです。群れ全体がそうらしいんです。そうすると、どんどん足元の草を食べたきり動かないから毛艶が悪くなる。体も痩せます。だから家族が困る。そこでヤギが登場します。ヤギはとてもアグレッシブなずる賢い生き物で、どんどん動き回る。するとみんな羊は後についてゆく。その結果羊は常に新しい草を食べることができる。太る、毛艶がよくなり家族が助かる。あとは寒い時期は羊はボーッとしているが、ヤギが暖かいところに誘導するみたいですね。日本人は羊度が高いんです。ヤギは重要なんですね。今の不安な状態になると、人と違う行動を取ることが怖くなってしまうんです。いろんな[KY]がいますが、集団を乱しても、草がいっぱいあって暖かいところに導いてくれるKYだったらいいんですね。日本にはやっぱりどうしてもリーダーが欲しいですね。とかいている。政局もどう動くのでしょうか?

キラキラ星通信2008年8月31日号森達也映画監督・ドキュメンタリー作家)より

0 件のコメント: