2007年12月16日日曜日

河合隼雄のラストインタビュー


写真はゆんフリー



河合隼雄ラストインタビュー:子供を守る母性が弱くなっている:論座・朝日新聞の雑誌。前篇ですが4回にわたって。今回はその1
子育てが両親にとって、エネルギーと工夫のいる時代
日本の場合、地域・世間が抱き込んでいたわけです。昔のお百姓さんの家は忙しいから、お父さんもお母さんも、そんな子供にべたべたとしとられんですね。けれども、家全体・地域全体が母性をもっていたわけでしょう。それをさらに自然が取り巻いて、いろんなものが子供を守っていたわけです。都市の周りもまだ自然が山ほどあって、東京でも、三角ベースで野球をするところがあって腕白坊主がおって、ということでみんな守られていたわけでしょう。そういう守りを補償するシステムを戦後になって全部壊したということをみんな気がついていないんです。空き地をなくして子供同士で遊べなくして、塾にいかせて、そういう人生にしておいて、お父さんお母さんが父性も母性も弱かったら、子供が弱くなるのは当然ですよ。だから今、子育てはお父さんお母さんにとって、ものすごいエネルギーがいる時代になっている。なにもかも個人でやらないといけないから大変なんですよ。ところが戦後の日本では「個人が大事や」となったとたん、そういうシステムを「しがらみや」といって捨てていったでしょう。「個人が大切や」といったときに個人が楽になった、自由になったと思ったわけでしょう。大間違いですよ。しがらみを捨てた分だけ、個人の責任がものすごく重くなっているんです。

0 件のコメント: