2007年12月7日金曜日
生命の糧
写真素材より
グッチン・インディアンの古老が語る部族とカリブーの関わりに星野道夫は耳を傾ける。
自分もそうやっていつもカリブーを待っていた。老人と同じくらい何週間も同じ場所で待っていたことがあった。ツンドラの彼方から、その大群が現れたときは震えるような感動があったが、それは老人が見たカリブーではない。飢餓に襲われ死期がもう目に前まで迫ったとき原野の果てからやってきたカリブーを僕はしらない。きっと老人のみたものはカリブーという形ではなく、もっとボンヤリとした自分自身とカリブーとの境も消えた大きな生命の流れのようなものではなかったか。アラスカ先住民の人々がかつて何を考え、どんな自然とのかかわり方をしてきたのか、そして近代との接触の中で何を失っていたかが気になりはじめていた。そのことを人々の声や気配を通して感じとっておかないとどうしても前に進めないような気がした。
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