2007年12月19日水曜日

河合隼雄のラストインタビュー前篇その3


写真はゆんフリー


対人恐怖症、赤面症の人がものすごく減りました。
赤ん坊のほかにままならぬものに恋愛がある。今大学生でも、いっぱい相談室にくるんです。だけど、昔みたいな形で悩んでる子はほとんどいない。」たとえば恋人ができてうまいこといかへんでしょう、そうすると「先生、なんとかしてください」ってくるんですよ。「あの子に言うったってください」「どうしたらいいんでしょう」とか言うて。つまり好きやけど告白できなくて、悩んで悩んで、もうフラフラになって死にそうになって、とはなっていない。そういうのはなくて、なんかええ方法があるはずやから、おまえら考えろ、という格好で相談にくるですよ。それがものすごい多い。
対人恐怖症はいまないんですよ。対人恐怖症ならただ引っこんでのや。人前に出なければならない、でも出られないのが、そういう葛藤があるから対人恐怖症になるんでしょう。今は葛藤なしにポンと引っこんでしまう。途方もない引きこもりになるか、バンと深刻な犯罪になるか。葛藤保持能力がなくなったのと一緒でまんなかでうろうろできないんですね。両極端ですね。
昔は知らぬが仏でうまくいっていた。お母さんも知らない間に悪いことをしたりして。それが今ものすごくできにくいんですよ。ちょっとさぼって図書館にいるのが分ったらものすごく怒られて「ほら塾に行きなさい」とか「成績落ちた」とか。ぼくら自分で考えても成績落ちることがあるんですね、そら怒られてるけど今ほど怒られてないですよ。上手に引きこもりができなくて追い込まれるほど、今度はガタンと引きこもってしまうわけでしょう。引きこもってる人は気の毒なことに引きこもりの意味がわからなから(どうやってい意味を教えたらよいでしょう)、それで自分が嫌になってるから余計引きこもりですよ。意味のある引きこもりやっていると思ったらもうちょっと悠々としていればと思うんだけど、いつも非難されるからがんばりたい。がんばれるはずないでしょう。さなぎなんだから。でもなんでがんばれへんか自分で分からないから、「おれ駄目な人間だ」とか「もう駄目だ、こんちきしょう」とか余計ひきこもる。親がしらん振りをするはなくて、何もかもわかっている。黙っておこうという訓練も親は必要。豊かになるとか、個人主義になるということはものすごい心の負担を各人に負担をかけているのです。貧乏で忙しくしていたら、子供のことなんてほおっておくから、ちゃんと上手くゆくのですね。ただ大事なことは待つとか葛藤かに厳しさがでてくるべきなのに、間違う人は厳しくいわれたら、「分りました!きびしくしつけます」とぱっとやるんです。それと人間関係がないのに、やったらムクアクチャになります。大事なのは人間関係の深さです。それも子供が小さいときにきっちり関係をつくらないとダメですね。子育てやって失敗したなと思ったり、30分くらいは悩んだっていいんですよ。そういうものがあるからおもしろいですね。親が「あのときはすまんかったな!」と思って暮らしているのと、「おれはみんな一生懸命やってんだ。おまえはなんだーっ」といつも怒っているのと全然ちがうでしょ。

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