2007年12月14日金曜日
特捜が挑む日米防衛利権の闇
写真はゆんフリー
特捜が挑む日米防衛利権の闇:以前購読していた「選択」という雑誌で、各新聞の記者が記事にしたいが通常没になるようなきわどい記事を集めて切り口鋭く、かつ分析力によって知の空白感を補ってくれる。2007・12号通常本屋には置いていないので定期購読が必要であるが、武蔵野市や西東京市の図書館に置いてありました。
記事を要約すると、
次期輸送機CXエンジンの商戦を巡って守屋の口利き疑惑の立件をうけ特捜部は政界ぐるみともいえる重大な国家機密について宮崎と守屋に口を割らせようと考えている(東京地検関係者)
特捜の狙いはメディアが注目する防衛族政治家たちの接待疑惑や便宜供与解明にとどまらない。本命は日米防衛利権の汚れたカラクリなのだ。「小沢が『久間は助からないだろうか』と福田にもちかけたらしい」11月2日の党首会談に関するこんな情報が自民党内に伝わっている。かつて経世会(竹下派)に所属した複数の国会議員たちは次のように証言する。「福田は、テロ特措法をめぐる小沢の強硬姿勢をブッシュ政権が快く思っていないと伝え、訪米に先立ち、小沢の意向を質した。この際、山田洋行事件が議題に上がったようだ。もし久間が捕まれば米軍再編計画が実は米国の意のままにつくられた疑惑のスキームだとばれてしまい、頓挫する。そうなれば日米関係は悪化。やはり疑惑にフタをするには大連立しかない、と」
疑惑のスキームとは何か。関係者の証言と入手資料によって総合すると、昨年9月に米退役軍人らによって創設されたプラント開発大手「ショー社」の首脳陣が来日、日本政府もまだ承認していない在日米軍再編の詳細をしるしたプランだった。米軍再編の大枠は昨年5月の日米安全保障協議委員会(2麻生外務大臣・額賀防衛庁長官プラス2ライス国務長官・ラムズフェルド国防長官)において合意したが、日本側は3兆円もの資金を投じるように約束させられ、なかでも在沖縄海兵隊8千人のグアム移転は、米国内の米軍基地建設を日本側が費用負担するという「国を売るようなプラン」(野党幹部)としても国会でも追及された代物である。
「ショー社はブッシュ政権の後援企業で、イラク戦争後の石油プラント事業でも名乗りを上げた。グアムへも移転には世界大手の建設会社ベクテル社なども参入を表明し、日米間のパイプを使い、有利な再編プランを獲得しようと水面下で動き出した」(防衛庁関係者)
ショー社首脳が来日したのは最終合意からわずか4月後、政財界の要人と接触」発注者を「米軍」と位置づけ日本側の財政負担と日本企業の取り分について要求を突きつけたというのである。塩崎官房長官をトップに政府高官や自民、公明の3役たち24人が名前を連ねる「在日米軍の兵力構成見直し等に関する政府・与党協議会」が設置されるに至り、一連のスキームへの政府のお墨付きが明らかになる。
昨年12月25日、協議会は初会合を開き、住民の反対運動で進まない再編事業を促進させようと1千億円もの地元交付金制度を盛り込んだ再編促進法案を発表。このときの協議会のメンバーの一人久間が会見に臨み、日米関係にもプラスになるんです」と喜々として語った。{米国にこれだけ卑屈になる理由がよくわからないし、結構推論がおおいというような気がする。しかし読売新聞の渡辺が画策したこと、小沢が突然脈略なしに、大連合を組もうというのもわからないし、この小沢が辞任すると言い出し、それを引きとめたとか何かがあるからという気がしているがこれら全体を納得させる理由がよく分らない}
小沢は党首会談の前後から捜査の足音に敏感になっている。その背景には小沢の自民党幹事長時代に、湾岸戦争時、多国籍軍に90億ドルの資金援助をしたとき、下働きして走りまわったのが久間だった。「小沢は父ブッシュ政権で国務長官シュルツと深い親交を結んだ。このシュルツがベクトルの経営者だから小沢は米軍再編をつぶすわけにはいかない。ショー社に近い久間とウリ二つだ」(自民党議員)
別々の政党ながら米国の巨大企業をバックにする小沢と久間。
小沢と久間の師匠にあたる金丸信は瀬島龍三らとともに、「日本戦略研究センター」を設立、自民防衛族や防衛庁制服組、軍需産業が集まるタカ派の拠点となった。これを小沢が引き継いだが1993年に金丸信が不正蓄財で逮捕された後自民党が分裂、小沢は脱党、自民党防衛族が新たな拠り所は、金丸信の鞄持ちや綿貫民輔の秘書もやった秋山率いる「日米文化協議会」だった。ここに民主党の前原誠司や公明党議員らも引き入れ一大防衛族グループが形成される。「この団体はやがて権威ある組織と認知され、コーエン元国防長官やアーミテージ元国防次官補たち米国国防族を理事に迎え、さらに安倍晋三、福田康夫も加わり、残るは民主党の小沢を招くばかりだった。つまり日米安保を御旗に一足先に防衛議員たちの再編統合がおこなわれていたのだ」(自民党議員)
守屋の証人喚問を執拗に求めた民主党内の会議で、証人喚問について想定問答をつくろうとしたとき、小沢グループ「一新会」のメンバーは国会の質問に2つある。
真相を究明する質問と党利党略を計算にいれた質問。山田洋行事件は一歩間違えると危ないとし、同僚議員たちを驚かせた「この直後ですよ。大連立話が噴き出したのは」と民主党議員の一人。「秋山の団体をつつけば、民主党も返り血を浴びる」
民主党の非小沢グループは「離合集散でできた二大政党維持はもはや無理」とし、次の構想を打ち明ける。
「親米派の自民党清和会と防衛族の多い旧竹下派に民主小沢グループが合流する新自民党、もうひとつは非防衛族の宏池会と民主党非小沢グループがドッキングする新生民主党の2つに再編すべきだ」
久間や秋山を追い込めば追い込むほどいっそう政治のねじれが表面化するというジレンマがある。このねじれが今後の政界の再編の原動力になる。
山田洋行事件の捜査は「守屋利権」・普天間基地移設問題で守屋とその一派である那覇防衛施設局長が地元出身の議員や地元業者と癒着して移設事業を独占しようとした事件である。この事件は「久間・守屋ライン」は守屋が地元出身議員と組んだことから久間がきれているので、久間逮捕にはつながらない。特捜は久間捜査班を別に設けている。但木検事総長は官房長官=法務政事務次官として長くパートナー関係にあった。「政治的配慮」は不可避である。八木宏幸特捜部長は辞表片手に捜査に臨んでいるというが政界ルートへの踏み込みは心許ないのが実情である。さてこの予測・推測はどうなるものか。
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