日本の出版市場は大きく変化しており、現在も変化の過程にある。90年代半ば出版物売上高がピークに達し、97年、98年にからは長期的に売上高がマイナス成長になり、現在も下降低迷している。不況に強い出版業という円本※時代につくられた神話は完全に終焉した。
(※大正15年、改造社の『現代日本文学全集』の刊行をきっかけに、一冊一円の廉価版の文学全集を予約出版する「円本」ブームが起こった。これにより、大部数を廉価で出版・流通する)
かつて明治以後の出版業の歴史を回顧すると、2つの大事件、危機的状況があった。
最初は関東大震災によるもので、1922年の13081点がこの年は10946点の出版点数にとどまった。しかし翌年には14361点に急速に復興している。
次に大空襲による。米軍のB29による爆撃であった。敗戦後1947年印刷用紙が乏しいなか新刊公・重版1万4664点、雑誌7249点も発行された。1953年には出版点数は2万点を超えた。それからは右肩上がりの成長をみせている。
かつての2度の大事件・危機的状況は天変地異、戦争という外部要因によるものであった。また別の市場の変化は大店法規制緩和・撤廃、デジタル情報革命、新しいメディアの登場、消費社会の進行、新チャンネルの誕生、書店の大型化、超大型化、売り場面積増加、出版点数大幅増加、という一般的にはプラス要因とみなされる事態が起きている。
●書籍の販売部数が長期的に減少(88年がピーク、05年は75年の水準)
●週刊誌の販売部数:05年は大幅減少ピーク時93年の59%。約30年前の75年の水準。
●月刊誌は8年連続減少など出版物売上高・販売部数の長期的減少・低迷、書籍・月刊誌・週刊誌の大量返品の発生、高返品率のピークが98年の43.2%、書店大量閉鎖、書店業再編成、大手取次店の減収減益と一時的赤字転落という現象は日本の戦後の出版産業にとって初めての経験である。
●日本の書店数が大幅に減少している。1986年に12935店あったものが06年で6683店と半減している。
●日本図書コード(ISBN)によって書店のPOS売上データー・返品データー、取次の送品・在庫データー、出版社の出荷・在庫データーの一元化することで書店の品ぞろえ、取次の商品供給、出版社の需要予測などを的確におこうことを目指している。電子取引としてのオンライン書店の登場も日本図書コード(ISBNは本の裏に戸籍番号に類似したもの)の導入抜きでは考えられなかった。
●CD-ROM出版:辞書類の便利さは皆さんが承知の通り。
●電子書籍:電子書籍は取次・書店を介さないで直接ユーザーと取引出来る。刊行点数約6万点、毎月の新刊タイトル約1300点と推定。書籍販売の1%で9197億円将来の成長が期待される。
●アマゾンやgoogleでは書籍の書誌情報だけでなく、本文の全文検索を出来るサービスを開始している。
アマゾンは「なか見!検索」、googleでは「ブック検索」検索語をいれるとダウンロードはできないが、その単語を含んだページ画像を試行段階のようだが、みることができるという。このようなサービスは従来の出版社や図書館の役割を根底から揺さぶる可能性がある。
日本の出版市場の変化:杏林大学 木下修と日本の出版流通におけるデジタル化とコンテンツ流通の展望 京都学園大学 湯浅俊彦より抜粋
2 件のコメント:
本文とは全然関係ないですが・・・
お誕生日、おめでとうございます!
VIVA SENZEN !
昨日は、変な名前(本名ですが)でお祝いをお伝えしたので、驚かれたことでしょう。このブログへのコメントの仕方がよくわかりませんので、失礼しました。
改めて、Papalinでした。
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