金がかかればかかるほど、たちまちにエスカレートし分に過ぎたおごりになって限度を越えて行く。欲望は限りがない。
私はこれが本当の贅沢と教えられた体験があった。
私はかつて砂漠の絵を描きたくて、アフリカの砂漠を遊牧民と車で何日も動き回った。
あるとき突然遊牧民が車を止めた。ボロボロの絨毯を広げ、紅茶をいれてもてなしてくれた。茶碗は所々かけていた。下手をすると、唇を切ってしまいそうになる。
仰ぎ見れば、無限の空と何処までも広がる月世界のような砂漠で振舞われた一服の茶は例えようもない美味なものだった。星の上にポツンと一人置かれたような壮絶な世界、この時得た経験は「時間」「空間」に対する尊敬だった。
千住明という画家の話しです。
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