2009年5月12日火曜日

天衣無縫な奥さん


このように天衣無縫で誰からも好かれている人で、小川洋子さんの推薦本にのっていましたが、日常のことを退屈しないような語り口です。肩コリも直りそうな本でした。

天衣無縫な奥さん富士日記(上)武田百合子:武田泰淳さんの奥さん(中・下と3巻もあります)
夫の没後「富士日記」により昭和52年田村俊子賞を受賞。

●親しい友人梅崎さんが、武田さんの住所字富士山の別荘の近くに引っ越しするんだという下相談まで出来ていたのであったが、急死されたという連絡があり、東京での葬儀に参列して、富士の別荘に戻ってきたら、今度は河出書房の社長の訃報が伝えられたのが、昭和47年、7月であった。

そのために原稿を書きそろえ、急きょ出来上がった原稿をその当時一番速い「列車便」で送付することになった。川口湖駅で言葉の行き違えだろうか、私鉄にはそういう制度がないということで、ことわられた。そこで大月まで車で飛ばして夕方6時半の列車便にやっと載せることができた。

ところが大月駅では私鉄でも列車便はきくからなにもここまでこなくても良いのにと言われ、腹がたったので、腹がたったまま、川口湖駅まで車を飛ばした。ねじこんでやると、ギュウギュウの目に合わせてやりたいと、飛ばして戻る。

ところが今日は交通取締の日らしく、白バイや交通取締の人らしく、白バイや交通巡査が多い。怒り狂って車をはしらせていると、取締の警官に捕捉されやすい。そうなると、大損害だと、気を取り直し、ゆったりと女神様のように川口湖駅まで行くと、中から駅長のような人と、中年の人が出てきてひたすら弁明し、今度から預かって、指定の列車に間に合うように川口湖駅から出すと約束するので半分怒ってやめる。

●花火を見るときに、地面に新聞紙を敷いて、仰向けになる。しばらく上がる花火を見ていると、首が草臥れないのでズーット終わりまで見ていられるの.という。

0 件のコメント: