2009年3月9日月曜日

渥美清さんのこと


おはようございます。
①つ目の話:
山田監督が渥美清さんから聞いた話だそうです。小学生の時、友達の両親が二人とも目がみえなくて、皆にいじめられていた。あいつの家じゃどうやって飯を食っているのか、
見てやれと、ある日、悪童どもが夕方の時間にそっと覗きにいった。すると少年を挟んで両親が食事をし、真ん中にがんもどきみたなおかずがあった。少年は一生懸命飯をくいながら、
時々両親の茶碗におかずをポンとのせてやる。なくなるとまたのせてやる。皆それをじっと見ていて、黙って帰って、それから誰もいじめなくなったそうです。


②つ目の話;
いつでしたか、ぼくちょっと面白い話をどこかで聞いて、この話渥美清さんに今度会ったら伝えようと思っていたことがあるんです。やがて彼に会う日が来たんで、渥美さんに「渥美さん、あのね・・・・」といったら、
彼もう笑いだすんですね。「まだ話していないのに、なぜ笑うの?」と言ったら、「山田さんはなにか、おかしい話をするんでしょう」って(笑い)。ぼくもなんだかおかしくなってゲラゲラ笑って、居合わせた連中みんな笑って、
結局なんの話もしないで終わっちゃった。
やはり、みんなで笑うから楽しい、おおぜいでワーッと笑うのが一番楽しいですね。ぼく、“寅さん”を新宿の映画館へ観にいったら、そのときばかに混んでいて、若い二人連れが僕のそばに立っていて、
片方が疲れて壁に寄りかかっているんですね。引っ込んだ壁に寄りかかっているものだから、スクリーンが見えなんですよ、連れが「おまえ、そこじゃ何も見えないじゃないか」と言ったら、
「いいよ、おまえの面を見ているから、お前が笑ったらおれも笑うから」という(笑い)。それを聞いて、胸が熱くなりましたね。おかしいということはそういうことなんだろうな。
スクリーンの渥美清がおかしいというよりも、彼が何か見て笑っている。そうすると自分もそれを見たような気がして、楽しくなってくる。

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