2009年3月6日金曜日

クジラの座礁はなぜ?


おはようございます。玄関先に置いてある太陽光パネルの灯りも光の明るさが一段と強くなってきています。

◆「クジラは絶滅に瀕している」この「神話」は今も生きているようだが、はたしてそうであろうか?かつての乱獲で激減したクジラはいる。
◆だがその後の国際的な保護策の進行で徐徐に生息数は回復した。
◆しかしこれと逆に宗教的ともいえる過剰保護の結果、増えすぎを心配させる種類も現れ始めた。
アメリカで1969年に制定された「絶滅に瀕した種の保存法」によって、その法に基づき多くの種類のクジラが保護すべき動物に指定された。ところが94年、政府は北東太平洋のコクジラは絶滅の恐れがなくなったとして、法律の対象外となった。そのコクジラが99年の夏から秋にかけ、アメリカ西海岸で大量に“座礁”したのである。実はコクジラが増えすぎて生息環境の限度を超えたため、“過剰な”クジラが死んで海岸に打ち上げられたのだ。アラスカからカルフォルニア州にかけた広い範囲で座礁が発生し、確認されただけでも約350頭が死んだ。いったい死因は何かー調べてみると、脂肪が極めて薄く胃の中がからっぽだった。つまり餓死したのである。コクジラは夏にアラスカ沖で餌をたべ、カルフォルニア沖を南下してメキシコまで行き、バハ・カルフォルニアで子供を産んでまたアラスカへ戻る、という回遊を1年間に繰り返している。ところがアラスカでの餌の量が不足し、なかなか満腹にならないので、アラスカを離れるタイミングが遅くなった。エサ不足は深刻で結局は大量の餓死という事態を招いたとみられる。過剰な保護によってあまりにも数が増えすぎてため、生存のための環境の収容能力を超えてしまった悲劇的な例でしょう。これに対し,反捕鯨団体は海の汚染のために死んだなどと主張している。だが汚染が原因ならコクジラだけが大量に死ぬのか。コクジラだけに死をもたらす汚染物質が襲いかかった、」とでもいうのだろうか。幸い、他の海洋生物にはこのような現象は起きていないのだ。その説明がないまま、原因を海の汚染に求めようとするのは明らかに無理がある。行き過ぎた保護は、海洋生態系のバランスを崩して、対象となる生物の“自然淘汰”を呼び起こし、かえって悲劇をもたらすこともある。これでは「動物保護」にはならないだろう。
実は日本の沿岸に毎年クジラが多数打ち上げられ、しかも年々その数は増えていて1999年には全国で186頭の座礁が報告されている。
                    
100年前現在との回復の比較
セミクジラ(体長15m以上、57.5t)    13%
シロナガス(体長25m以上、90.9t)    1%      
ナガスクジラ(体長20以上、48.5t)     (40万頭→1万8000頭)
ニタリクジラ(体長15m、14.3t)     99%
ミンククジラ(10m、6.6t)        1000%
http://image.rakuten.co.jp/hakudai/cabinet/img02923697.jpg


●ミンククジラは繁殖率が旺盛で、小型ですばしこく、エサを捕る能力にたけ、シロナガスのエサを横取りし、回復を妨げているとう説が有力だそうです。
1999年に世界食糧農業機関(FAO)の水産委員会に提出された一編の科学論文は日本鯨類研究所の田村力博士と同研究所の大隅清治理事長からだされ、両氏の試算によると、
クジラは年間2億8000万トンから5億トンもの海洋生物を食べている。これにたいして人間は約8000万トンだ。人間の3.5倍から6倍ものを食べている計算になる。
この論文にたいして、米国の海洋大気海洋漁業局は「クジラとの競合はない」と打ち消しに懸命だが、世界の認識はクジラがどの位世界中の魚類を捕食しているかを調べようと満場一致で決議した。日本近海でクジラの捕獲を完全に禁止したらなんと「魚が消えた」というシュミレーショがでているそうです。

「なぜクジラは座礁するのか?」森下丈二著:河出書房新社より

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