2010年2月1日月曜日

稚気と大胆さと


おはようございます。もう梅の花は満開でした。その樹は花の白さの塊のために、見た目でで空中に浮いているようにみえました。自転車に乗っていても、首筋に
空気が流れ込んでも気になりません。
ワールドカップ予選を巡る64の話:大住良之
トミスラヴ・イヴコビッチ編
1960年ユーゴスラビア(現クロアチア)ザグレブ出身。1979年のワールドユースで来日し、独特の存在感から強烈な印象を残し、日本女性ファンを魅了し、驚くなかれ、当時から20年以上経過しているのに、世紀がかわっても、
いまだにプレゼントをもってはるばるヨーロッパまで会いにくるファンが幾人もいるのだそうです。
イヴコビッチは1989年のUEFAカップで<ナポリ>と当たったときのこと。相手のPKになった。蹴るのは神の手と言われた天才マラドーナ。このときチームメイトは賭を始めた。ユーゴから来たGKがマラドーナを止められるか
どうか。賭率は圧倒的にマラドーナの勝ちに賭けていた。イヴコヴィッチPKに対して絶対的な自信を持つキーパーだった。ペナルティエリアに近づいてきたマエアドーナに「おい、俺が止められなかったら、100ドルくれよ。俺が止
めたら、逆に100ドルやるよ」相手は少し考え込んでから、この奇妙なかけに「OK」と返してきた。飛ぶ鳥を落とす勢いの当時のマラドーナが手心を加えるはずがない。八百長の勧誘というよりも心理ゲームに引きずりこんだ。
イヴコビッチは「PKを止めるには相手に考えさせることだ。右か左か真ん中か。そして最後まで動かない」彼は自らに暗示を賭けた。「今日、俺は調子がいい」精神を集中させ、ボールが動き出すギリギリまで見切った。マラドーナの
右の軸足が着地し、左足が振りおろされた。」「左っ!」体がついていった。止めた。GKの勝利、マラドーナには負けて、チームメイトには勝った。
スーパースター相手にギャンブルを提案する。かようにイヴコビッチは大胆で稚気のある大男だった。

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