2010年2月17日水曜日

のんびり・ゆっくり


おはようございます。やはり南国のサンゴ礁のある紺碧の海は一度見てみたいものです。小島の青い海に熱帯魚のように、その魚の姿を借りて泳いでみたいですね。
旅の話:鶴見俊輔・長田弘:晶文社
ベリーズという国がメキシコの隣にあります。中米でも唯一ゆったりした小さな国※があるそうです。
長田;そこに北米から石油会社の副社長が事業をすすめようと乗り込む。ところがベリーズにきて急にいやになって仕事も会社もやめちやうんです。いまはニカラグアなんかから難民が入ってきて、いくらか変わってはいても、ゆっくり
した暮らしのリズムをなおくずしていない。要衝の地なので張りきって、ベリ-ズにやってくる人は少なくないんだけれども、ベリ-ズの暮らし方のもつ時間に魅せられて仕事のほうをおっぽりだしちゃう。その副社長はイエール大学を
出てフォーチュン誌にしょっちゅう名を出したようなバリバリだったんですが、以来北米に帰らず、背広も着ずに、のんびりすわって海を見ながら、ピカソみたいにパンツ一つで暮らしているらしい。豊かな社会が貧しい時間しかもって
いないバカバカしさをあらわにしてしまう土地というのが世界にあるし、そっち側からこっち側をみると、何もかも自明のはずの世界はちがっちゃうんですね。旅するというのは自明の社会の外に出ることなんです。

ベリーズ国:※http://www.belize.jp/:1981年に英国から独立した、アメリカ大陸で一番新しい国。
独立前は「英領ホンジュラス」で、現在も英連邦の一員。ヨーロッパに侵略される以前は、マヤ系インディアンの文化が栄え、その歴史は紀元前にさかのぼります。多様な人種と宗教の混在する国で、国土の65%を熱帯雨林が覆ってい
ます。

鶴見:西郷隆盛は奄美大島に流され、そこで西郷の構想がうまれたと橋川文三さんが説明しているそうです。流罪だから身分から放たれて島で暮らしているうちに、それまでと全然ちがう仕方で日本の社会を観るようになった。そこから
江戸城の開城なんかを無欲にやってのける、その後の韓国との交渉でも、彼は新天地をつくることができると考えていたんだと、毛利敏彦という人が『明治6年政変』(中公新書)で推測しているそうです。
明治維新で高位につける人だったのに、結局そうした俗事にしばらずに、避けたのはそこ
までの青年時代の島の暮らしが作用している。

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