2007年11月24日土曜日
食料自給率
写真はゆんフリー
食と農をめぐる今日的課題:食料自給率から読み解く
以上は東京大学・農学部長、農学生命科学研究科長生源寺眞一教授の東大農場公開セミナー11月23日から
農林水産省の発表によれば8年間食料自給率が40%を維持していたが、昨年度39%に低下したと発表した。
●日本人の栄養は現在摂取しているのは1900kcalであるが供給過剰で2600kclで、その分冷蔵庫を見ても、食べきれないほどにあふれている。
日本の穀物自給率は28%
1980年代半ば頃までは食生活の大きな変化が自給率低下の主要因
1980年代後半以降は農業の衰退が自給率低下の主要因
<農業生産指数の推移>
1960-64年 1985-84年 2000-04年
総合 100 134 115
米 100 87 70
麦類 100 55 40
豆類 100 57 46
いも類 100 70 53
野菜 100 147 121
果実 100 194 150
畜産物 100 307 286
ここに示していないが、1986年がピークだった。このときはバブルの年だった。
<1人1年当たりの供給純食料の変化>単位kg
1955年は高度成長に入った年
1955年 2005年 2005年÷1955年
米 110.7 61.4 0.55
小麦 25.1 31.7 1.26
いも類 43.6 19.7 0.45
でんぷん 4.6 8.3 3.8
豆類 9.4 9.3 0.99
野菜 82.3 96.3 1.17
果実 12.3 43.1 3.5
肉類 3.2 28.5 8.91
鶏卵 3.7 16.6 4.49
牛乳・乳製品 12.1 91.8 7.59
魚介類 28.3 34.6 1.32
砂糖類 12.3 19.9 1.62
油脂類 2.7 14.6 5.43
●米は約半減、果実や肉・卵、乳製品類が3.5倍から8.倍強もの伸びをしめしている。
その頃育った人の実感は、梅干し弁当が幕の内弁当に、外食は年に数回程度であった。
●農地があまってきていますよ。米・芋などのカロリー生産型農業は国内消費の減少と
輸入農産物の増加とともに後退し、施設園芸(ビニールハウス)や加工型畜産・高品質の果樹が健闘した。
<品目別自給率の変化>単位%
1960年 2005年
米 102 95
小麦 39 14
いも類 100 81
大豆 28 5
野菜 100 41
果実 100 41
鶏卵 101 94
牛乳・乳製品89 68
牛肉 96 43
豚肉 96 50
飼料 1970年38 25
<ふたつの食料自給率のかい離>
1960年① 2000年②
カロリー自給率 79% 40%
生産額自給率 93% 71%
②÷① 1.18 1.78
参考:カローリー対比で経済的価値がたかく自給率の品目はレタス、同種の輸入品にくらべ消費者の評価のたかい国内農産物で自給率は牛肉、飼料などはカローリーベースでと生産額の自給率に開きをもたらす要素がある。
●アジア農業は労賃や地代がこれまで農業の競争力を支えたが、長期でみると徐々にそうではなくなるでしょう
●中国・インドなど成長著しく・人口の多い国が食料の質のレベルを上げてきたら、影響は相当大きなものになるでしょう。
●土地余りの状態の下で、安定兼業農業や定年帰農のホビー農業とビジネスとしての農業経営は十分に両立可能
●水田農業の持続性に注意信号:水田農業は平野部でも耕作放棄地が広がり始めている。
それでも水田が持ちこたえているのは昭和一桁世代の頑張りによるが、後10年もすれば80代になるので、期待できないし無理である。集約して1農家あたりの耕作面積を広げることも大事。
●日本の農業品目の輸入は7兆円、輸出は3500億円で20対1の比率しかないが、将来アジア地区でそれぞれの国の得意な農産物に特化してゆく方向もあってしかるべき。
<稲作と酪農の経営規模の推移> 単位a.頭
1960年 2005年
稲作 55.3 96.1
酪農 2.0 59.7
※酪農は約30倍にもなっている。
●「イネイネ・日本」日本のバイオ燃料は稲、休耕田数10万ha、このうち2万haにおいしい米でなく、収穫量の多い品種にして年間30万klのエタノールが作れる試算がある、政府のバイオマスの総合戦略は年間50万kl、東京大学がスタートさせた
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