2007年11月7日水曜日

食感について

ゆんフリー写真集より



養老孟司の対談集より



田崎:
日本人は味わっているものに対して、表現方法が触覚に頼りすぎているところがある。
テレビのレポーターが肉料理を食べて「柔らかくておいしいですね」という。それならマシュマロでもよいか(笑い)
「こりこりして美味しい」とか「さくさくして美味しい」とか「温かくておいしい」舌ざわりや熱などの触覚を美味しいと判断している。逆に臭覚に対する言葉がすくなく、曖昧だ。
養老:
それはおそらく日本の約束事であるのでしょうね。匂いや味よりも物理的性状を大事にする。カマボコの硬さは柔らかいといえば柔らかい、噛むと切れたままの塊が絶対に溶けないで残っている。ネコは必死にいつまでも噛んでいる。

田崎:
もし私がカマボコの味を聞かれたら、噛んだ瞬間の歯ごたえでなくて、先ず香りを嗅ぐ、そして何系統の魚を使っているとか、うま味と甘味のバランスというような多分ワインと同じような表現をしてしまいます。日本料理は刺身も触感が大事ですし、それに他のアジア人もですが、食べ物の温度帯が広い。冷たいものは冷く、熱いものは熱く、ですから「熱っかい料理」と聞いただけでも「おいしそうだな」と思う。ヨーロッパ人はやけどしそうな熱をいうと、「そんな物のめない」という違いがある。
見える日本、見えない日本:養老孟司対談集(ワインのソムリエ田崎真也)より

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