2008年2月3日日曜日

キャピタルゼロ


一般のイギリス人は仕事を始めるとき、「キャピタルゼロ」。ビジネスは無資本から始めるものと思っているんだ。あるといえば資本は唯一自分の腕だけ。私達が考える「TOEIC何点」とか「宅建免許」といった正規の資格ではない。それは誰でももっている個人の能力をさす。たとえば人に友好的、よく気がつく、料理がすき、手先が器用、安全運転をするなど書き出せばキリがない。そこから仕事を立ち上げる。
先ごろイギリスのテレビ番組「タイムセーバー」時間節約人という仕事につく女性が紹介された。これは多忙な人々に代わって贈り物を選んだり、コンサートもチケットを手配したり、別荘を探すなど依頼人の日常の雑務を代行し、時間を節約する新種の使用人だ(ネーミングが便利屋とちがい優雅な執事の仕事に聞こえる)
依頼人の好みを十分に把握し、食品から生活用品・ドッグフードやときにはクリスマスプレゼントまで買い揃える。「パーソナル・ショッパーズ」はイギリスではミドルクラスから高齢者まで多忙な人たちの助っ人となっている。これには資格はいらない。人の気持ちがわかる常識人であれば誰でもできる。2時間2000円で1月で約2万円の出費でいつでも必要なものが家にそろうなんて有難い、銀行勤めをする多忙なシングルファーザーは言う。イギリス人が考える自分のスキルを生かした無資本ビジネスはストレスも生じない。たとえば町角のベーカリーで「イチジクとクリームチーズのタルトがあったわよ。と依頼人に教えると、おいしそうだから今度買っておいてと頼まれる。買っていくとおいしいと喜ばれ感謝される。これって私がいつも家族にしていることを同じです」一般にビジネスを始めるといえば、まず資金を作り、名刺を作り、事務所や店舗を借りなければと金策が先行するが自分を売りにすればもっと簡単なのに、日本人は形から入ってしまうケースがままある。それではどうやってこの仕事を求めている人と出会うかは書いていないが、身近な友人、知人の情報から得てゆくのではなかろうか。
イギリス人の格:井形慶子:集英社より
写真は蒲郡市博物館絵手紙展より

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