2008年6月5日木曜日

ファイマンさん行状記その2


ラスベガスである女性からの紹介でプロの博打うちのニック・ザ・グリークに会うことができた。「君はプロの博打うちだそうだね」「あっその通りだよ」
「じゃこのテーブルの勝負のクラップスの勝ち目は0.493しかないのに、どうやって博打で生計がたつのか教えてもらいたいね。」
「あんたの言う通りだよ」と彼は答えた。「実を言うとね、おれはテーブルなんぞでは絶対賭けやしない。」「えっいったいこの勝ち目というものがいつあるんだい?」彼はとても信じられないで聞いた。「それは案外簡単なんだよ。俺はテーブルの周りに立っていると誰かが「穴は絶対9が出る!絶対9だ!」と言い出す。すっかり興奮しているから、「これは賭けたがる。」だから「9でないほうに4:3で賭けるよというわけだ。そうすれば長い間には俺の勝ちになる。むきになってラッキーナンバーみたいなことを信じたがるカツギヤ相手に賭けるのさ」彼はまた続けて言った。
「俺の評判ができた今じゃ、もっと簡単だよ。人はたとえ自分にあんまり勝ち目がなくても、万が一勝てばかのニック・ザ・グリークを負かしたという自慢話になる。たとえ負けてもニック・ザ・グリークと賭けをしたと言えば、話の種になるからみんな俺を相手に賭けたがるんだよ。だから俺は本当に賭けだけで生きていけるんだ。我ながらいい御身分だよ。」ニック・ザ・グリークはある意味で本当に修行を積んだ人間なんだ。この博打うちは気のいい魅力のある男だった。だからこの世の中のからくりというものは、よっく知らなくてならないのだと結んでいる。

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