2008年1月1日火曜日

瞬間をとらえる難しさ


あけましておめでとうございます。ことしはどんな伝説を作ってくれるでしょうか?

大リーグの伝説(2007・10・22朝日新聞夕刊)
1975年のボストン・レッドソックス対シンシナティ・レッズ。7戦中6戦が逆転試合という凄まじいワールドシリーズで、最終的にはレッズが4勝3敗でチャンピオンになった。名場面がうまれたのは第6戦だ。試合は6対6の同点のまま延長12回裏、レッドソクスの攻撃に。先頭打者、カールトン・フィスクが右打席に入る。2球目を叩いたフィスクの打球はグングンのびてレフトポール際に向ってゆく。フェアなら劇的なサヨナラ本塁打だが、ファウルかもしれない。このどっちになるか判らない状況での打者フィスクの姿の名場面。この名場面を文章にしている人が多い。ロジャー・エンジェル著『アメリカ野球ちょっといい話』(1981年、集英社、訳・村上博基)からの引用だ。「ファーストへ向かいながら、彼は必死に手をふりうごかし、背をまるめ、身をよじり、くるくるまわりながら、打球がフェアであることを祈り、とうとう全身でフェアにしてしまった。」この文章を例に上げた理由が2つある。まず、この文章の直前に大事なことが書かれているから、みんながテレビでみたものを見損なったフィスクの姿である。そうこの名場面はテレビ中継のおかげでなのだ。球場にいたら気づきもしない。もう一つの理由は、この文章が不正確だから。著者がこの文章を書いた頃はビデオが普及していなかったので、実際の映像を繰り返し見ることができず、テレビ中継を見ていた人の話だけを頼りに書いたのだろう。でも今、私はこの名場面のビデオもDVDももっている。でもっと正確な文章が書ける。「レフト方向に体を向けたまま一塁に進み始めたフィスクは、軽くジャンプしながら両腕を胸の当たりで懸命に振ってボールよりフェアになってくれという仕草を3回ほど繰り返し
た。そして本塁打とわかると、体を一塁方向に向け、両手を頭上に挙げて歓喜のジャンプをしながら前進して行った」。・・・・ね、かなりちがうでしょ?慶大医学部准教授向井万起男(宇宙飛行士向井千秋さんの夫)

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