2008年1月11日金曜日

定年には趣味優先も


イギリス人の格:井形慶子:集英社
ロンドンで大手広告代理店の副社長だった60代男性の趣味はカビだった。彼は在職中からコケをはじめ食品につくカビだった。あらゆる種類のカビを集めては、世界中の専門店から買いそろえた顕微鏡でその組織を調べていた。自分の会社に所属するCMディレクターの日本出張が決まったとき、この副社長は申し訳なさそうに「実は・・・東京についたらカビを探してほんの少しだけ持ち帰ってくれないか・・・・」と頼んだという。常識的なこのディレクターは、植物の持ち込みは法に触れるからダメだと断った。副社長は一瞬、言葉を失ったそうだが、「いや、悪かった。君にこんな面倒なことを頼むつもりはなかった」と反省し、このおかしな趣味をあきらめるかのように見えた。ところが彼はリタイア後もカビの研究にいそしみ、日本をはじめ世界中からカビ関連の書籍を買いあさっているという。イギリスでは企業のトップは平均年収は約1億1800万円とヨーロッパの各国の平均より2000万円も高い。地中海をクルージングすることもできる筈だ。広告業界で名をとどろかせている副社長は、社長から任期延長を受けてくれれば3ケ月間の世界一周の豪華客船の旅をプレゼントしようという社長の申し出をあっさり辞退した。カビの研究にもっと時間が使えると、60歳の誕生日に喜んで会社を辞めたという

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