2008年3月3日月曜日

言葉はタイムマシーン


「人の楽しみに結婚がある。考えてみてごらん離婚もある」というような機智に富んだ諺があるが、昔の人々の間で、今日の人々と同じように語られていることを知ると、数千年前の時代の差も一挙にちじまってしまうように思われます。言葉は一瞬にして飛び込んでくるという意味で、一種のタイムマシーンだともいえるのではなかろうか。
メソポタミアの人々の詩には人間について描写しうる最も普遍的な姿を要約している。
退屈な日常生活を見つめ、そこから反転して自分の心に見入りつつ歌われた、さわやかな喜び、悲しみ、怒り、絶望、についての表現だから時代を超えて心に響くものとなった。
きょう生まれたものが今日死ぬ
束の間のうちに人間は闇に投げ込まれ、突然押しつぶされてしまう。
喜びに歌をくちずさむときはあっても
たちまち嘆き悲しむことになる
朝と夜の間に人々の気分は変わる
ひもじいときには亡骸のようになり
満腹になるとその神とも張り合い
ものごとが順調にいっているときには天にも昇るなどとしゃべる癖に
困った時は地獄に落ちそうだとわめく
まるで現代のあり様そのままですね。
ことばの力:大岡信:花神社より

0 件のコメント: