家畜の健康と福祉;日本獣医生命科学大の松木洋一教授の退任講演
我々の常識からかけ離れているので、理解しにくい授業であった。
動物福祉というのがヨーロッパでは1960年代から虐待された家畜の飼育は、いまやEUでは動物福祉団体のみならず、消費者市民や食品企業の支持によって改善ないし、禁止の方向に置かれている。
ブロイラーを例にとると、狭い身動きもとれない籠にいれられて、食べることだけが仕事で、急激に太らせるから、しかも運動もしないので、足の骨がおれた鶏は毎日捨てられるという。嘴もストレスで喧嘩しないように切られている。これで健康な美味しいブロイラーができるのではなく、不健康だから抗生物質などを投与したりする(他は繁殖母豚は子豚に乳を与えるために横座りで、たちあがれない檻内での飼育)。
畜産は作るのではなく、神経細胞のある動物には苦痛を与えないで、ノビノビ育てる必要があり、工業と違い、また作るのではなく、生命を頂いているという考えをしなければならない。
それが動物福祉という概念だそうです。英国では狭い籠で飼う鶏は2004年に禁止されている。英国ではBSE問題で178457頭の牛を殺害している。
家畜といえどもストレスを感じる生命の存在だ、ストレスによって周囲の病原菌にたいする免疫力が減退する。ユネスコにおいても動物福祉宣言に1989年に行っている。
EUではこのような動物福祉の概念で育てる農家には政府が直接奨励金をしはらっている。EUでは卵1個あたり、3.2円支払っている。
農家側から見れば、従来の114%(14%か114%の内容確認は必要)の奨励金をうけとっていることになる。それでも消費者は買うと答えているそうです。
こういう健全に育てた鶏、豚、牛に品質表示のレッテルを貼ったものをEUは2年後に日本でも発売する。これは日本の農家にも大きな影響を与えるのは確実だ。
報道関係はやっとこれらについて朝日が報道しただけである。こういうことをどういう風に進めていくか食品安全経済学という方法に基づいて、日本のスタンダードの作成をやっと始めた位でEUとくらべ相当に遅れている。(食品業界が相当な反対しているそうで、労働厚生省も及び腰だそうです。)
豚の祖先は猪ですから本来は活発に動く動物で、清潔ずきで、富士山麓でノビノビ飼育している豚は犬のようになついてくる可愛い動物だそうです。
食べるのに、動物福祉というのも矛盾する考え方ではあるが、命を頂く上で、できるだけ命を尊重し、命を奪うにあたり、事前に不安を感じさせないようにしたり、動物を運搬するのでも例えばサラブレッドを運ぶ丁寧に類することをやるという決心は仏国の場合は2010年に実行するということです。
日本人がこれを聞いて「何のこっちゃ」というに違いないが、EUは真剣に考え実行段階に入っていて、中国にもそういう注文をつけて輸入してるという。
(工業製品を輸出する環境を整えて、農家の生きる世界が狭くなっている。そこで食物自給率40%を切っている状態になっている。由々しきことと言わねばならない。)
これに理解のあるレストランは「ビックリドンキ-」だそうです。(実際にどういうことをやっているかは聞き洩らした)
21世紀の畜産改革~家畜福祉畜産論~は松木洋一教授(退任):畜産の研究 第62号第一号(2008年)
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